4月中旬からレース車両をBETA RR2T 200に乗り換え半月後の月末にはJNCC鈴蘭大会のデビューレースをCOMP-Aクラス優勝と、乗り換えに際し幸先良いスタートを切ることができた。
しかしレースレポートにも書いた通りサスペンションのセットアップは完璧ではなかったため、車両メンテナンスを担当するjonit原田メカがレース走行中のバイク挙動やサスペンションの動きを客観的に観察し、レース後に何度もの話し合いにより、クロスカントリーで安定して走りやすいセッティングを目指し状況と症状、サスペンション機構から沢山の考案とテストが始まった。

デフォルトセッティングは車速が極低速域ではサスペンションのストローク初期の動きが良く、ゆっくり走る石がゴロゴロ転がるような場面では好印象。 またハードエンデューロ練習を行う中で、ステアや丸太越えなどはサスペンションの反応が機敏でとてもタイミングがつかみやすいというのが良い部分。
対して速度域を中速域以上に上げた際に路面追従性の貧弱さを感じた。
実例としてはやや大きめ(こぶし大以上くらい)の浮き石のある作業道やスキー場ゲレンデの石とギャップの下りなどで速度を上げたい場面は特に苦手と感じた。
ストローク初期の動きが良い(摺動性が良い)のだが、少しの加重でもストローク後半部分まで入り込んでしまい、キャスター角は立ち、サスペンションの踏ん張りが効いてしまう領域に一気に達してしまったようだ。
下りではこれが顕著に現れるため、JNCC鈴蘭の下りは極力ギャップが少なく、あえて柔らかい地面をライントレースするようにネガティブをごまかし走行した。
また、フロント荷重を極力減らし、ストローク初期の部分を使えるようなポジショニングやリヤサス調整による姿勢調整も行ったことでどうにかまとめることができた。
フロントサスペンションに関しては総じてクロスカントリーやエンデューロで欲しい「おいしいところ」が薄い印象だ。

しかしこれで欲しいものは明確となり、ライダーとメカニックのセッティング目標は相違なく、ディスカッションはとてもスムースに行われ、沢山のアイディアから最も効果が期待できそうなものを選択した。
ライダーリクエストにより変更は大きく振ることで方向性が正しいか否かの判断をしやすくし、正しいことを確認できたところから細かな調整へと入った。
最初のテストで手押しでも分かる動きの質感の向上と、走行の際には明らかな安定感を感じることができた。サスペンションの過剰な入り込みも減ったことで前後の姿勢変化も少なくなり、安定化へと繋がった。
しかし感覚を研ぎ澄ませ様々な路面を走る中で、中〜高速域でのギャップ通過の際に少し「コツ」という弾かれる感覚があったため、これの改善策を再度ディスカッションする中で、このサスペンション機構ならではの「これでしょ」という方法を見つけることで、細かなネガティブも取り除くことに成功した。
コンプ、リバウンド減衰調整、プリロード調整、突き出し量などプラスにもマイナスにもアジャストできる状態でベストが出せたことは、コース状況が変わっても外側から簡易的にできる調整で対応が可能という余裕も持つことができた。

メーカーではないため開発テストとは比べできることは限られているが、その中でもここまで仕上げることができるという貴重な体験をすることができた。
過去MTBにサスペンションが着いた黎明期からホンダワークス時代まで、原始的な対策から最先端の開発テストまで経験できた財産が今またここでメカニックの経験知識、技術により引き出され活かされたことは本当にありがたい。

体格、乗り方、速度域でセッティングは異なるとは思うが、路面追従性が向上したこのサスペンションは是非BETAオーナーやBETAが気になる方に乗ってもらいたいと思えるモディファイとなった。
純正サスペンションの機構を活かせたことも◎

同様のモディファイを希望の方は「jonit kisarazu labo」まで!

セッティング変更〜
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こんな路面でもテスト!
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そしてまた変更・・・ こういう繰り返しです
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